展示案内

常設展

1 神と人の饗宴

豊作大漁を祈願・感謝し、神へ山海の恵みをささげるとともに、神と住民がひとつになるために、共同飲食をするのが祭りの基本です。 無形文化遺産の「あえのこと」はその基本を率直に表した行事といえます。 能登半島の各集落では、現在も、当屋とうやという世話役が、神饌しんせん直会なおらい料理の準備、また祭り当日の供応などにあたっています。 この大役の交替の際は、丁重な作法をもって引き継ぎが執り行われます。

能登一宮いちのみやの気多大社、加賀一宮の白山比咩神社の神饌をはじめ、能登地方の山海の恵みを盛り込んだ古風な神饌、生贄いけにえ伝説と結びついた神饌など、祭りと神饌文化について紐解きます。

2 祭礼風流の世界

祭り行事は、神仏のために執り行うのが本義ですが、町場では、多くの見物客を意識し、曳山ひきやまものなどの華やかな風流世界が発達しました。石川県を代表する祭礼風流としては、県内一円に分布する獅子舞(ししまい)、加賀地方の豪華(ごうか)絢爛(けんらん)な曳山、能登地方の巨大灯籠とうろう扇型おうぎがた曳山・枠旗わくばたがあります。 また金沢には、藩政期まで、造り物の出来を町ごとに競いあう大規模な祝祭行事がありました。

地域の誇り、一年の最大の楽しみとして発達した祭礼の出し物や芸能を、現地にのこる貴重な地域遺産もあわせて紹介します。

3 祭礼体感シアター

緊張感と躍動感がみなぎる圧巻の祭礼世界を、博物館内で再現する「祭礼体感シアター」。 映像はクローズアップを極力抑え、様々な位置から撮影を行うことで観客の目線を再現しました。 祭りの最高潮の場面をたたみかけるように配列しながら、現場の空気を引き出す細かな要素を盛り込み、臨場感を演出しています。 そして、3面巨大スクリーン、頭上のウーハースピーカー、映像に合わせて振動する床など、光、音、振動を駆使したアトラクション的な展示空間によって、見る人を心躍る祭礼の場へ誘います。