令和5年度夏季特別展 いしかわの霊場―中世の祈りとみほとけ―
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概要
霊場とは多くの信者の参詣を許す開かれた聖地のことです。平安時代後期以降、高野山や熊野三山といった全国規模の霊場が成立し、石川県下でも十二世紀頃に白山・石動山が霊場化したとみられます。こうした全国的な霊場の発生に呼応し、より小規模で在地社会に密着した「在地霊場」も誕生しました。県内でも多くの在地霊場があったと考えられますが、戦乱や社会構造の変化に伴い一部は廃絶し、また一部は寺院や神社として存続し今に至ります。
本展では石川県内における霊場の成立、および中世における展開を、今に残る霊場を中心に紹介します。出品資料の多くは県内各地の寺社で現在まで大切に守り伝えられてきたものです。本展にお越しいただき、霊場へ人々が捧げた「祈り」を感じていただければ幸いです。
チラシ(PDF:5.51MB) 出品一覧(PDF:1.07MB)
展示構成と主な展示品
第1章 聖地をひらく
聖地とは、山や森、滝、巨石などを伴った、人々に神聖視されている場所です。奈良時代以降、そうした聖地に分け入り、修行を行ったのが山林修行者たちでした。彼らの活動は、聖地を訪れる人々を増やし、やがて聖地を開かれた場所にしていきました。本章では、こうした山林修行者たちの事跡を紹介します。
第2章 浄土信仰のひろまり
聖地が霊場の性質を帯びるのに、重要な要素となったのが浄土信仰です。10世紀末以降に浄土信仰が広まると、人々は現世と地続きの浄土を求め、やがて聖地の中に浄土を見出すようになりました。本章では、石川県下における古代・中世の浄土信仰に関する資料を展示します。
第3章 聖地から霊場へ
白山は古代より聖地として名高く、また石動山も平安時代前期(9~10世紀)には山林修行が行われていました。この二つの聖地は、中世において全国から人々の集まる霊場として発展しました。本章では、白山・石動山の中世霊場としての姿を、縁起や古絵図、仏像といった資料から探ります。
第4章 能登の在地霊場
霊場には、白山・石動山のように全国にその名を轟かすものもあれば、それより小さな規模の霊場(在地霊場)もありました。特に能登地方では、近世の「能登国三十三観音霊場」の存在が暗示するように、中世において多くの在地霊場が存在したと考えられます。本章では中世能登の在地霊場を、仏像や絵図、寄進状、棟札などで紹介し、霊場の空間と、人々がそこへ寄せた祈りを見つめます。
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- 会 期
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2023年7月22日(土)~2023年8月9日(水)
2023年8月11日(金)~2023年9月3日(日)
- 時 間
- 9:00~17:00(展示室への入室は16:30まで)
- 休館日
- 8月10日(木)
- 会 場
- 特別展示室 企画展示室
- 観覧料
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一般1,000(800)円 大学生・専門学校生800(640)円
- *高校生以下無料
- *( )内は20名以上の団体料金 65歳以上の方は団体料金
- *障害者手帳または「ミライロID」ご提示の方および付添1名は無料
- *常設展もあわせてご覧いただけます
- *加賀本多博物館は別途、観覧料が必要です
- *電子チケットもご利用いただけます
- 関連イベント
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石川の歴史遺産セミナー(リレー講義)「能登の中世霊場を探る」詳しく見る
記念講演会「霊場の成立と展開―北陸を中心として―」詳しく見る
ワークショップ「作って学ぶ!金沢の遺跡」(日本初出土の「金箔押し笠塔婆」のペーパークラフトを作ります)詳しく見る
学芸員による展示解説詳しく見る
- 主催
- 石川県立歴史博物館
- 特別協力
- 北國新聞社
- 備考
- 本展で展示を予定しておりました 木造 阿弥陀如来立像(尾添区蔵、石川県指定文化財) は、都合により展示が取りやめとなりました。ご了承ください。