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令和元年度秋季特別展「加賀前田家と北野天満宮」

趣旨

本展は、学問の神様として知られる菅原道真公を祀る京都の北野天満宮と、江戸時代に加賀・能登・越中三国を治めた加賀前田家との関係に迫る初めての試みです。

前田家が菅原姓を称し、家紋に梅鉢紋を用いたことは周知の事実ですが、前田家および当地と北野天満宮がどのような関わりを持っていたのか、という問題については十分に検討されてきませんでした。そこで、平成29年(2017)より北野天満宮に伝わる前田家関係資料、前田家に伝わる天神関係資料、石川県内の天満宮等に伝わる文化財の調査を実施したところ、新たな文化財の発見とともに、これまで知られていなかった歴史的事実が浮かび上がってきました。

今回特別に出展いただいた北野天満宮所蔵の国宝「北野天神縁起絵巻」のほか、天神御忌にあわせて前田家が50年毎に北野天満宮に奉納した太刀をはじめ、前田家と北野天満宮との関わりを示す貴重な文化財が多数展示されます。

本展を通じて、北野天満宮(天神)と当地とのつながりの深さを感じていただけたら幸いです。


プロローグ 利家と天神さん

鉄打出二枚胴 尾山神社蔵

加賀前田家が菅原姓を名乗り家紋に梅鉢紋を用いたことから、藩祖・前田利家も天神を信仰していたとされています。ここでは利家の天神信仰を裏付ける最も有力な根拠とされてきた鉄打出二枚胴(尾山神社蔵)や宝達志水町の菅原神社に伝わる兜(初公開)など、利家の天神信仰を示唆するわずかな痕跡について検証します。また、「東路記」(金沢市立玉川図書館蔵)にみえる芳春院と北野天満宮との関わりについて紹介します。


第1章 前田家のルーツをさぐる

前田家が菅原姓を称したことを明確に示す最初の記録は、江戸幕府が編纂した「寛永諸家系図伝」の呈譜です。寛永20年(1642)に完成したこの系図において、前田家は南光坊天海が勧めた源姓を退け菅原姓を名乗る道を選んでおり、当時実権を握っていた三代利常の天神への強いこだわりが感じられます。国宝「北野天神縁起絵巻(承久本)」をはじめとする北野天満宮の神宝の数々から、前田家のルーツ形成の謎に迫ります。

国宝  北野天神縁起絵巻  巻第二(部分) 北野天満宮蔵 ※前期展示

第2章 前田家と北野天満宮

これまで多くの崇敬者が北野天満宮に刀剣や鏡、絵馬、灯籠などを奉納してきました。このうち江戸時代を通じて天神御忌50年毎に太刀を奉納し続けた有力大名は前田家だけであり、同家が北野天満宮を篤く崇敬していたことがうかがえます。ここでは天神没後50年毎に行われた天神御忌の世界をご紹介するとともに、太刀や紺紙金字法華経開結共に代表される江戸時代の前田家奉納品の全貌を明らかにします。

重要文化財 太刀 銘 恒次 附金梨地糸巻太刀拵 北野天満宮蔵

第3章 小松天満宮の創建

能順画像(部分) 小松天満宮蔵

明暦3年(1657)、三代利常によって小松城の鬼門に天満宮(現在の小松天満宮)が創建され、京都北野社から宮仕の能順(1628-1706)が招かれました。初代別当に任じられた能順は、霊元天皇(1654-1732、1663-87在位)もその才能を称えるほど優れた連歌師であり、天皇から「梅花硯」や文台・硯箱を与えられています。小松天満宮に伝わる宝物から、小松天満宮創建の意義や能順の人物像に迫ります。


第4章 金沢の天神さん

天神縁起絵馬(部分) 崇禅寺蔵

加賀藩の寺社由緒をめくると、近世以降に天神を祀ったという由緒を持つ寺社がいくつも確認されます。こうした藩主の祖先神を崇拝する風潮はしだいに広がり、宝暦2年(1752)の天神850年御忌に際しては椿原天満宮に俳書『北の梅』が奉納され、金沢二十五天神巡りが庶民の間でも行われるようになりました。また、寛政6年(1792)造営の学校および文政2年(1819)造営の竹沢御殿の鎮守として金城霊沢の側に置かれた天満宮は、金沢神社として続いています。


エピローグ 受け継がれた伝統

五代綱紀以来、加賀藩の歴代藩主によって50年毎に行われた北野社への太刀奉納は、昭和2年(1927)の天満宮一千二十五年祭へと受け継がれます。このとき太刀を奉納した十六代利為(1885-1942)は、前田育徳会尊経閣文庫の創設など文化の継承・発展に尽くすとともに、北野會の会長として北野天満宮を支えました。江戸時代の前田家歴代の天神崇拝の精神は次代へと受け継がれていったのです。

太刀 銘 奉納北野天満宮宝前/昭和二年二月侯爵前田利為/大阪住人月山貞勝謹作(花押)
附 金梨地鳳凰螺鈿松梅紋蒔絵飾太刀拵 北野天満宮蔵



会 期
2019年9月14日(土)~2019年10月6日(日)  
2019年10月8日(火)~2019年11月4日(月)  
時 間
9:00~17:00(展示室への入室は16:30まで)  
休館日
10月7日(月)は展示替えのため閉室 
会 場
特別展示室 企画展示室 
観覧料
一般800(640)円、大学生640(510)円、高校生以下無料

※( )内は20名以上の団体料金、65歳以上は団体料金

特別展・常設展セット券 一般880円、大学生700円 
関連イベント
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主催
石川県立歴史博物館
特別協力
北野天満宮・公益財団法人前田育徳会・北國新聞社
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