令和6年度テーマ展1「輪島・住吉神社ゆかりの宝物」 テーマ展2「県指定文化財 須須神社文書を読む」
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【開催趣旨】
いま見たい 能登の文化財
令和6年能登半島地震、および令和6年奥能登豪雨により、能登半島は甚大な被害を受けました。住み慣れた町の風景が一変し、また故郷を離れることを余儀なくされた方々も多い中、地域の宝を知ることは、ふるさとの魅力を再発見し、生活再建へ歩む活力に繋がるのではないかと思います。加えて、被災状況が広く報道され、レスキュー等で県内外から多くの人が訪れる中で、全国的に能登への関心が高まっていることを感じます。
地震から1年になる今、奥能登地域に伝わった文化財を二つのテーマで展示いたします。本展が、能登の歴史・文化に対する理解を深め、能登へ心を寄せる機会となれば幸いです。
テーマ展1「輪島・住吉神社ゆかりの宝物」
輪島市鳳至町の中央部に鎮座する住吉神社は、式内社である鳳至比古神社の後裔にあたる神社のひとつと伝えられ、鳳至郡の大宮として広く信仰されてきました。本展示では、当館のコレクションの中から住吉神社伝来の仮面や懸仏、仏像を紹介します。度重なる災禍をくぐり抜けて現在に伝わる貴重な宝物をご覧いただくとともに、中近世における住吉神社の様相の一端を探ります。
テーマ展2「県指定文化財 須須神社文書を読む」
能登半島の北東端、珠洲市三崎町にある須須神社は、奥能登屈指の古社として知られ、多数の文化財を所蔵しています。中でも石川県指定文化財である須須神社文書は、県内最古の年記を持つ承安5年(1175)2月28日の「能登国司庁宣」や、天正14年(1586)2月13日の「前田利家寄進状案」など、平安時代から江戸時代に至るまでの貴重な古文書を擁する文書群であり、本県の歴史を語るうえで必須の資料となっています。本展では須須神社文書とその関連資料を展示し、須須神社およびその別当寺であった高勝寺(現在は廃寺、翠雲寺が跡地に移転)の歴史を紹介します。
【主な展示品】
テーマ展1「輪島・住吉神社ゆかりの宝物」
眉を立てて目は大きく見開き、口を開いて上下の歯を見せる。鼻高(現在は一部欠損)で赤ら顔の姿は天狗を思わせるが、神事において神輿を先導する先触れ役が使用した可能性も考えられる。細部にこだわった造形や、鋭い彫り口が魅力的。
懸仏は金属製や木製の鏡板に仏像や種子などをあらわしたもの。堂や社殿に懸けて礼拝された。本作は五面で一具の例であり、聖観音菩薩、虚空蔵菩薩、毘沙門天、菩薩形の像容が確認できる(残り一面は尊像を亡失)。虚空蔵菩薩が含まれることから石動山信仰に関係して制作された可能性がある。
大黒天はもともと戦闘神であったが、その後豊穣を司る神とされ、中世以降は「福の神」としての信仰が定着した。本像は頭に頭巾をかぶり、豊満な顔つきで歯を見せてにっこりと笑う「福の神」の姿である。近世には「伝教大師(最澄)の作」として信仰を集めていた。
テーマ展2「県指定文化財 須須神社文書を読む」
能登国珠洲郡方上保の土地1町を、須須神社の神宮寺の一施設であった妙成就院の仏聖料(仏前に供える仏飯の費用)とするよう命じた書状。
長家の先祖である長谷部頼連が、高座宮(須須神社の前身)に対し、かつて先祖が寄付した土地が引き続き高座宮のものであると保証した書状。
前田利家が須須神社の前身である金分宮・高座宮へ田地5町を寄付した書状の案(写し)。前田家は度々須須神社へ支援をしており、同社が重要視されていたことがうかがえる。
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- 会 期
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2025年1月4日(土)~2025年2月16日(日) (展示室への入室は16:30まで)
- 時 間
- 9:00~17:00
- 休館日
- 会期中無休
- 会 場
- 特別展示室 企画展示室
- 観覧料
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常設展のチケットでご入場いただけます
〈常設展料金〉
一般300(240)円 大学生240(190)円- *高校生以下無料
- *( )内は20名以上の団体料金 65歳以上の方は団体料金
- *障害者手帳または「ミライロID」ご提示の方および付添1名は無料
- *常設展もあわせてご覧いただけます
- *加賀本多博物館は別途、観覧料が必要です
- *電子チケットもご利用いただけます(日時指定なし)。
- 関連イベント
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当館学芸員による展示解説(1/8)詳しく見る
当館学芸員による展示解説(1/11)詳しく見る
- 主催
- 石川県立歴史博物館
- 後援
- 北國新聞社、NHK金沢放送局