令和5年度春季特別展「碧の海道-古代の日本海交流-」
-
趣旨
石川県は日本海の南岸の中央部に位置し、古代から大陸の文化が流入する海の玄関口になってきました。弥生時代には中国や朝鮮半島から日本海ルートで青銅器や鉄器がもたらされ、北陸地方は東日本へ広がる流通網の拠点になっていました。交易の対価として、翡翠や碧玉を用いた宝玉が盛んに生産され、西日本に広く流通していきました。
さらに、古墳時代の終わり頃の570年、朝鮮半島の高句麗から使節が加賀に来着しました。この時に開かれた外交航路を通じて、奈良~平安時代にかけて日本海の対岸にあった渤海の使節が加賀・能登を往来しました。渤海使船の寄港地として有名な福浦港(羽咋郡志賀町)のほかに、現在の金沢港の周辺にも古代の港が存在したことが明らかになっています。
本展覧会では、日本海沿岸の各地や朝鮮半島・中国大陸との交流を物語る資料を多数展示し、日本海を舞台にした壮大な交流の歴史をたどります。
展示構成と主な展示品
第1章 海をこえて広がる交流
弥生時代に中国大陸や朝鮮半島から青銅器がもたらされ、北陸地方にも青銅器文化が伝来しました。また、精巧に作られた木製容器が日本海沿岸の各地に共通して見られます。九州・山陰地方と北陸地方の出土品をあわせて展示し、弥生時代の日本海交流に迫ります。
第2章 鉄と玉の交易
小松市八日市地方遺跡から発見された鉄器により、弥生時代中期に北陸地方で鉄器が使われ始めたことが明らかになりました。鉄器のような西方からの交易品に対して、北陸地方では玉類が盛んに製作され、遠く山陰や九州地方まで流通していきました。
第3章 渡来文化の受容と国づくり
古墳時代は倭(日本)で国家が形づくられていく時期にあたります。中国や朝鮮半島との外交や渡来人を通じて大陸の知識や技術が伝来し、倭が文明化する契機になりました。日本海を経て北陸地方にもたらされた大陸・朝鮮半島系の文物を紹介します。
第4章 北ツ海を渡る人と神
古代には、日本海は「北ツ海」、北陸地方は「越(高志)」と呼ばれていました。『出雲国風土記』・『古事記』などの史料や神社に関わる遺跡の出土品から、越と出雲の間で「北ツ海」を介した人びとや神々の交流の接点を探ります。
第5章 渤海使の往来
奈良~平安時代にかけて日本海の対岸にあった渤海から日本に使節が送られました。渤海使は北陸地方を経由することが多く、加賀と能登に滞在施設が設けられました。渤海の王都の出土品や加賀・能登の港に関する資料を展示します。
-
- 会 期
-
2023年4月29日(土)~2023年6月11日(日)
- 時 間
- 9:00~17:00(展示室への入室は16:30まで)
- 休館日
- *会期中無休
- 会 場
- 特別展示室 企画展示室
- 観覧料
-
一般1,000(800)円 大学生・専門学校生800(640)円 高校生以下無料
- *( )内は20名以上の団体料金 65歳以上の方は団体料金
- *障害者手帳または「ミライロID」ご提示の方および付添1名は無料
- *常設展もあわせてご覧いただけます
- *加賀本多博物館は別途、観覧料が必要です
- *電子チケットもご利用いただけます
- 関連イベント
-
石川の歴史遺産セミナー 第37回「古代の日本海交流」詳しく見る
れきはくゼミナール「舶来品でたどる古代の日本海交流」詳しく見る
展示解説詳しく見る
ワークショップ「ミニ銅鐸をつくってみよう!」詳しく見る
- 主催
- 石川県立歴史博物館
- 共催
- 島根県立古代出雲歴史博物館
- 特別協力
- 北國新聞社