石川県立歴史博物館開館35周年記念
令和3年度秋季特別展「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」
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趣旨
尾張徳川家は徳川家康の九男・義直(1600~50)を初代とする御三家筆頭の大名家です。名古屋の徳川美術館は、義直が受け継いだ家康の遺産「駿府御分物(すんぷおわけもの)」を中核とする尾張徳川家の伝来品などを保存・公開することを目的に昭和10年(1935)に開館しました。多くの大名家の伝来品が戦災などにより失われる中、保存状態のよい大名道具をまとまった形で保有する国内随一の美術館です。
本展では、尾張徳川家の成立を伝える史料、武家の象徴ともいえる武具、武家の格式をあらわす茶道具や香道具・能装束、大名の教養として求められた書跡・絵画、贅を尽くして作られた婚礼調度など、徳川美術館の名品の魅力を余すことなくご紹介します。また、徳川美術館以外では、巻子装への修復後初公開となる国宝「源氏物語絵巻」も期間限定で公開します。
公式ホームページ 公式Twitter 出品一覧データ(PDF:1.3MB)
展示内容
序 御三家筆頭の威光
尾張徳川家は、徳川家康の九男義直に始まる御三家筆頭の大名家で、名古屋城を居城とし、江戸時代を通じて徳川将軍家に次ぐ家格を誇りました。元和2年(1616)4月に家康が没すると、駿府城に遺されていた莫大な金銀・諸道具の大半が九男義直(よしなお)・十男頼宜(よりのぶ)・十一男頼房(よりふさ)の三人(御三家)に分与されました。家康の遺産「駿府御分物」は尾張徳川家の什宝の核として大切に受け継がれ、徳川美術館に伝来しています。
1 研ぎ澄まされた美 ―武具―
武士の精神の象徴として重視された刀剣は、近世の武家社会においては戦の道具というよりむしろ、公式の贈答品の筆頭と位置付けられ、大名道具の中でも最も高い格式が与えられていました。尾張徳川家では、家康や義直をはじめ歴代当主にかかわる刀剣、将軍からの拝領刀、世に名の知られた「名物」と呼ばれる刀剣などを多数所持し、家の由緒を示す家宝として大切に守り伝えられました。本展では、徳川美術館所蔵の加州刀もあわせて公開します。
2 もてなしと儀礼 ―茶・香・能―
近世の武家社会では、儀礼や外交の場で茶・香・能の心得が必須でした。室町時代に成立した茶の湯の道具は家の格をあらわしたため、大名家では競って華々しい伝来を持つ名物茶道具を求めました。茶の湯と深く結びつく香道も、室町時代に香を焚いて優劣を競う遊戯である薫物合(たきものあわせ)を基として成立しました。能は室町幕府に庇護されたのを契機として、武家から愛好されるようになり、江戸時代には武家の式楽として重んじられました。
3 いにしえの知を求めて ―絵画・書跡―
儀礼や遊興など様々な場で詠むことが求められる詩歌、歴史や帝王学を習得できる文学は、為政者にとって必須の教養でした。一方で、書画や書跡は、大名やその子女が徒然を慰めるための娯楽として「奥」というプライベートな空間でも鑑賞され、あるいは自ら筆をとる際の手本となる側面もありました。尾張徳川家では二代光友(みつとも)が素人の域を脱したと評されるように、中には専門の職人並みの優れた技量を示す大名も現れました。
4 美麗なる調度 ―姫君の婚礼―
大名の夫人や子女たちが生活で用いる「奥道具」を代表するのが、尾張徳川家に嫁いだ女性たちの婚礼調度類です。三代将軍徳川家光の娘で二代光友の正室となった千代姫(ちよひめ)所用の婚礼調度、いわゆる国宝「初音の調度」をはじめ、歴代当主の夫人や子女らが用いた婚礼調度類の中には、地に金粉を密に蒔いた「梨子地」の美麗な品が多く、尾張徳川家の高い格式を象徴しています。本展では、加賀前田家四代光高夫人・大姫の婚礼調度「菊の白露蒔絵調度」も展示します。
特別公開 国宝「源氏物語絵巻」
紫式部があらわした『源氏物語』は、完成後ほどなくして絵画化が進みます。名古屋の徳川美術館に伝わる尾張徳川家伝来の3巻、東京の五島美術館に伝わる阿波蜂須賀家伝来の1巻は平安時代(12世紀)に成立したとみられる現存最古の「源氏物語絵巻」です。美しい色彩と細やかな筆遣いにより描かれた絵、平安時代の美意識を伝える詞書と料紙からなる本絵巻は、見る者に深い感動を与えてきました。
このたび2016年から5年間にわたる修復を終え、額装から元の巻子装へ戻されました。本絵巻の模写は、江戸時代から行われてきましたが、最近では平成15年(2003)から7年間にわたり、東京藝術大学日本画第三研究室で絵・詞書ともに現状模写が行われ、復元模写は平成11年の林功氏の模写を皮切りに、同17年には徳川美術館・五島美術館所蔵の国宝「源氏物語絵巻」の絵の模写が行われました。
本展では、大切な文化財を後世に伝える取り組みとして、修復事業の一端もご紹介します。
※作品保護のため、会期中に展示替えを行います。
〔源氏物語絵巻の展示替え予定〕
国宝 源氏物語絵巻 竹河(二) 10/9(土)~10/24(日)
10/25(月)~11/7(日)は復元模写・現状模写の展示となります
国宝 源氏物語絵巻 東屋(一) 11/8(月)~11/23(火・祝)主な作品紹介
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- 会 期
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2021年10月9日(土)~2021年11月23日(火)
- 時 間
- 9:00~17:00
- 休館日
- 11月1日(月)展示替え休室(一部作品の展示替えがあります)
- 会 場
- 特別展示室 企画展示室
- 観覧料
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「前売り・団体」 一般/1,100円 中高生/700円 小学生/500円「当 日」 一般/1,300円 中高生/900円 小学生/700円未就学児童は無料、団体(20人以上)は前売り料金65歳以上は前売り料金 常設展示は別途料金障がい者手帳等お持ちの方と介添え人1人まで無料【前売り券販売期間】 2021年7月10日(土)~10月8日(金)【前売り券プレイガイド】石川県音楽堂チケットボックス 香林坊大和 アピタ松任ティオチケットぴあ(Pコード685-641) ローソンチケット(Lコード 54500)〔当日券リピーター割引〕本展の有料チケットの半券提示で前売り・団体料金に割引
- その他
- ご来館にあたっては、こちらをご一読くださいますようお願い申し上げます。
- 関連イベント
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記念講演会「国宝 源氏物語絵巻の魅力」詳しく見る
徳川美術館学芸員による展示解説詳しく見る
- 主催
- 「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」金沢展実行委員会(石川県立歴史博物館・石川テレビ放送)
- 特別協賛
- 株式会社クスリのアオキ
- 協賛
- 日本通運株式会社
- 特別協力
- 徳川美術館
- 協力
- 北陸中日新聞