石川県立歴史博物館 スポット展①・②
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〔スポット展①〕「江戸時代の東本願寺再建絵巻 ―寛政度の再建と真宗門徒―」
京都の東本願寺が江戸時代に経験した四度の伽藍焼失のうち、最初の焼失は天明8年(1788)の大火によるものでした。当時の法主・乗如(じょうにょ)(1744-1792)は、諸国の門徒に御書を出して再建への尽力を呼びかけるとともに、この再建を機に信心を獲得することが肝要だと説きます(乗如没後は20代達如が継承)。再建にあたっては、幕府の飛騨御用林の材木が寄進されたほか、北は松前から南は九州まで諸国の門徒たちが本山への寄進・奉仕を惜しみませんでした。
本展では、焼失から寛政13年(1801)までの13年間にわたる東本願寺造営の様子をあらわした絵巻物を紹介いたします。寛政度の再建には加賀・能登の門徒も参加しており、能登では「御崇敬(ごそっきょう)」という歓喜光院(乗如)の御影を崇敬する御講が各地で営まれるようになりました。また、近年の調査により類似の絵巻物・絵伝が確認され、本願寺再建絵巻の作者や制作背景に関する研究が進展することが期待されます。再建に参加した門徒たちの生き生きとした姿にご注目いただくとともに、本展を通じて豊かな真宗文化の一端に触れていただけたら幸いです。
〔スポット展②〕「反古を宝に変える ―大鋸彦太郎コレクションの魅力―」
当館所蔵品のなかで最大の資料群が「大鋸コレクション」で、約2万点を数えます。市内在住の大鋸彦太郎氏(1898~1980)が生涯をかけ集めたもので、内容は古文書・書籍・書画・刷物・版木・生活用具・衣類・写真など多岐にわたります。
大鋸氏は、少年期、実家の豆腐業を手伝いながら第一中学校に通い、卒業後は、表具屋を始めました。表具屋になった理由がユニークで、張替えの際に下地の古文書が出るのを至上の喜びとしたからだそうです。就職後の日課もユニークで、無償で資料を集めるため、屑屋廻りを欠かしませんでした。
注目すべきは収集対象が反古のほぼすべてに及んだことです。端的にいえば、大鋸コレクションの最大の特質は、往時の人々が手に取り、眼差した紙がまるごと集められた点にあるといえるでしょう。
博物館では学術的に価値の高い資料について情報を公開し一般の利用に供していますが、ほかに情報開示されていない資料が少なくありません。非開示の理由はまず厖大すぎて整理がおいつかないことによりますが、ほかに当該コレクションならではの理由として、学問的な評価が難しい、紙片に近い資料が多く含まれていることがあります。つまり、氏の収集方針に既成の人文系学問の関心が追いつけない状況にあるといえます。
今回の展示では、整理途中にある資料の一端を紹介し、大鋸コレクションの先鋭性をみつめます。
〇展示構成
- I 自らの足跡
- II 暮らしを支えた紙片たち
- III 未発のコレクション
主な展示品 (計約80件)
昔今豪雄見競鏡 明治10年 加賀金沢繡眼児啼合各会等内銘鳥鑑 年不詳 金沢有名家伝鑑 明治25年 日本櫻花見立番付 昭和15年 近藤忠之丞智覚寺墓参図 年不詳 ※①は会期中に場面替えを行います
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- 日 程
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2020年11月21日(土)~2021年1月24日(日) ※①は会期中に場面替えを行います
- 時 間
- 9:00~17:00(展示室への入室は16:30まで)
- 休館日
- ※12月28日~1月3日は休館
- 会 場
- 特別展示室 企画展示室
- 参加費
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一般300円(240円) 大学生240円(190円) 高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金、65歳以上は団体料金
上記の料金で常設展もあわせてご覧いただけます
- 主 催
- 石川県立歴史博物館
- 後 援
- 北國新聞社