珠洲 秋草文壺(すず あきくさもんこ)
胴部の四方に花樹を主題とする刻画を配した壺である。倒卵形の胴部は粘土紐を輪積みして成形された後、叩打して整形されている。口頸は後補で、蔵骨器に用いる際に欠きとられたとみられる。
胴の一面に柳状の樹木が描かれ、櫛歯状工具で表された樹幹からのびる枝に点刻された花序が広がる。その左面には萩状の草花が描かれ、ヘラ描きの茎から伸びる楕円形の小さな葉と点刻の花が表現されている。他の二面には風になびき交錯するススキ状の草がヘラ描きで表されている。花樹の間にも水草風の植物が櫛歯状工具で描かれ、下胴には3条の櫛目波状文が施されている。これらの刻画は、大和絵の系譜をひく秋草を表したとする説と四季花鳥文とみる説がある。
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- 時 代
- 鎌倉時代 13世紀
- 寸 法
- 残高28cm
胴径26.7cm
底径8.5cm - 出土地
- 珠洲市正院(しょういん)町正院
- 文化財
- 石川県指定文化財