珠洲 鳥樹文小壺(すず ちょうじゅもんこつぼ)
胴部の三方に線描の鳥樹文を配した壺である。球形の胴部は粘土紐を輪積みして成形され、叩打して整形されている。胴部には松あるいは杉の幼木が根付きの状態で描かれ、左右に広がった枝葉の樹上には羽ばたく鳥が描かれている。また、三面の木の間には針葉樹の小枝のみが描かれ、ここにも1羽の鳥が配されている。この描画を根付きの若松とみて、正月子日(ねのひ)に行われた遊宴行事の「小松引き(こまつひき)」との関連を想定する説もある。
この壺は法住寺(ほうじゅうじ、珠洲市)に近い中世墳墓から出土しており、蔵骨器として使用されたとみられる。法住寺は若山荘の領家であった日野家の祈祷所となった寺院で、珠洲焼の窯跡は一部を除いて若山荘の荘域に分布している。
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- 時 代
- 室町時代 14世紀
- 寸 法
- 高21.4cm
口径12.4cm
胴径20.5cm
底径9.6cm - 出土地
- 珠洲市春日野法住寺(かすがのほうじゅうじ)
- 文化財
- 石川県指定文化財