男性用上衣(さしこ)
地方名 : サシコ
男性用の上衣で、木綿地を使用し、襟部分以外の全体に刺子を施し、筒袖に仕立てる。北前船の船乗りが仕事着として用いたと考えられる。
刺子とは布地の補強のために糸で細かく刺し縫いにすることで、布を重ね合わせ保温性を高める効果もあった。この資料は紺無地の胴の全面をやや薄い藍色の糸で山道刺しにし、袖には藍色と茶色の糸で二重襷の刺子を施す。さらに背中から前身頃にかけての首回りに、柿の花文様の刺子を施すなど手が込んでいる。
このような美しい刺子の衣類は福井県三国地方に多く見られ、加賀南部から三国はほど近く、北前船の寄港地であることから関連が考えられる。
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- 時 代
- 江戸時代末期~明治時代
- 寸 法
- 丈120.0cm
裄59.5cm - 採取地
- 加賀地方南部