珠洲 片口鉢(すず かたくちばち)
注口を作り出した片口鉢である。内湾しながら立ち上がる半球形の器形は、珠洲焼の片口鉢のなかでは古い特徴である。内面には卸し目が入れられておらず、轆轤(ろくろ)回転の撫でによる整形の痕が残っている。金沢市小坂1号墳の墳丘に埋納された経塚に使用された鉢で、銅製経筒2点を納めた珠洲焼の壺の口縁を覆う蓋に用いられた。
片口鉢は食材をこねたり、砕いたりする万能の調理具として中世社会に普及した。珠洲焼でも甕、壺と並ぶ主要な器種として多量に製作され、甕、壺の減産する15~16世紀にも生産が続いた。
- 時 代
- 平安時代 12世紀
- 寸 法
- 高13.3cm
口径29.2cm
底径11.2cm - 出土地
- 金沢市小坂1号墳墳頂経塚