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珠洲 刻銘小甕(すず こくめいこがめ)

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 胴部に刻銘が入れられた小型の甕である。胴部は肩の張らない寸胴で、鉢造りの底部との接合部分には段が形成されている。口縁部は短く鍔状に折り返されている。
 胴部の3面に「松波(花押)」「御寺」と三鱗文の図文が刻銘されている。「松波」は能登町松波を本拠地とした松波氏を、「御寺」は松波氏の菩提寺であった万福寺(能登町松波)を指すと考えられる。松波氏は中世木郎郷(もくろうごう)の在地領主で、万福寺(まんぷくじ)は1368(応安元)年に若山荘の領家であった日野家創建と伝えられる禅宗寺院である。松波付近には珠洲窯の分布で最も南側に位置する窯跡群が見つかっている。

時 代
室町時代 15世紀
寸 法
高24.7cm
口径24.6cm
胴径24.4cm
底径10.0cm
出土地
輪島市経塚山(きょうづかやま)遺跡
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